17.東京オリンピックのアイロニー

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  築地大橋。2020年オリンピックの道路の要として作られたが、築地市場移転の遅れによって鳥の休憩所と化していた。日本橋。1964年オリンピックに合わせて作られた首都高が覆い続けている。東京オリンピック絡みの皮肉が漂う、2つの光景。

朝日新聞ロゴリード画像.jpg Photo Story 2017年2月3日 「惑う人 憩う鳥」
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  未開通の橋の上で、カモメ科の鳥たちがくつろいでいる。  
  東京都の築地市場(中央区)わきの環状2号線の築地大橋はカモメにとっての休憩スポットだ。
  豊洲市場(江東区)への移転時期が不透明になっている現在、橋付近は工事車両や人の往来が少なく静か。
  市場でさばかれた魚の残渣(ざんさ)を探しに飛ぶ。しばらくしてまた橋に戻って休む。時折、ハシブトガラスが参入を試みるように見えるが、数の差でカモメたちの「専有状態」が続く。
(写真・文 迫和義)
2017年2月3日 朝日新聞夕刊 1ページ 東京本社
Nマークリード画像.jpg 後藤ゼミナール 2016年度 No.5  「日本橋×首都高の造形美―1964年東京オリンピックのレガシー―」
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  2体の麒麟像を台座に配した大きな街灯が建ち、その上部左右に首都高の高架が走る。右手側の欄干の向こうには、野村證券本店の1・2階部分が見えている。人が佇む橋は、1911年建造のルネッサンス式石造石拱橋である日本橋で、重要文化財に指定されている。
  1964年の東京オリンピックの開催にあたり、建設費用と時間を抑えるために東京の川の上に高速道路が建設された。ことに日本橋界隈では、歴史的な景観が損なわれるとして、高架の撤去を求める運動が現在も続いている。他方、後藤ゼミのインタビュー調査によると、長年見慣れた結果、違和感を覚えない人が少なからず存在し、移設や地下化に反対する人もいた。改めて写真を見ると、近現代の建造物が織りなす「造形美」さえ漂っている。
  日本橋を覆った首都高。先進国の仲間入りを果たそうとオリンピックに合わせて急ごしらえしたのだが、半世紀以上経ったいま、東京を代表する景観として既に定着した感がある。皮肉なことに、1964年東京オリンピックのレガシーとなっているかのようだ。
写真撮影者:日本大学2年 毛森威
2016年7月18日(月)12時31分
日本橋(東京都中央区日本橋1丁目の日本国道路元標前)にて撮影

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