25.市場に架ける橋 ―人と場内をつなぐ場外市場―

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 ここは、日本最大の中央卸売市場・築地市場(以下場内)に隣接する場外市場(以下場外)。銀座や汐留から徒歩圏内に位置し、昼時のサラリーマンや買い物客で賑わっている。
 1935年に開設された場内は、主に卸の専門業者がセリを行う魚河岸であり、一般の消費者には入りにくく馴染みづらい。場内と一般客を「橋渡し」するのが、ここ場外だ。基本的には業者(プロ)を相手にする問屋街なのだが、小売も積極的に行っている。業務用品店や鮮魚の卸/小売店、多くの食堂などによって形成されており、場内の雰囲気を体験できる場にもなっている。一般の人々にとっての「築地市場」とは、美味しいマグロが食べられたり新鮮な魚を購入できたりする場外を指している、と言ってもよい。
 近い将来、場内は3キロほど離れた江東区豊洲に移転することが決定している。橋渡し役になることで、自らの存在価値を作り出していた場外。片岸を失った時、市場の活気と人々の賑わいが消え、魂の抜けた商店街が取り残されることになってしまうのか。
写真原作者:慶応大学4年 清水遙
2003年6月30日(月)12時頃
東京都中央卸売市場築地市場場外市場(中央区築地4丁目)にて撮影

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