22.「なみだ橋」界隈の今昔物語 ―樋口一葉とあしたのジョーを結ぶもの―
ここは、台東区の「なみだ橋」付近。この辺りは、幕末に吉田松陰や橋本左内らが処刑された刑場のあった所であり、明治の女流作家である樋口一葉が貧困にあえぎながら暮らしていた所でもある。漫画『あしたのジョー』の主たる舞台となったのもこの辺りで、大都市「東京」を底辺で支える日雇い労務者の集住する典型的なドヤ街として描かれていた。 そうした地域特性は、現在でも受け継がれている。写真にある「ひふみ堂」は、食堂というよりはむしろ立ち飲み屋で、メニューもコップ酒や焼き鳥が主体となっていて、毎日午後4時頃になるとどこからともなく人が集まってくる。付近の旅館も格安で、看板には「本日空室有り。1800円。カラーテレビつき」と出ていた。
写真原作者:法政大学4年 佐藤竜介