15.熱島最前線 ―不自然? 必然! それが自然…―

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 東京は歪(いびつ)な街である。住民1人当たりの公園面積は2.9平方メートル(NYの1/10、パリの1/5)と、緑地が極端に少ない。高度経済成長期、開発の生んだ歪みで東京の川や緑地の多くがコンクリートに姿を変えてしまった。無計画な開発は近年も続き、新川の手/海の手に集まる超高層の再開発ビル群は、水辺からの涼しい風を遮る存在ともなっている。
 こうして、100年間で3度も気温が上昇。東京は、地球温暖化による世界全体の気温上昇の5倍にもなる最悪のヒートアイランド(以下HI)になってしまった。それが、ここ六本木ヒルズに見られるような屋上庭園の需要を高めているのである。
 本来土に根を張るべき緑を屋上に押し上げる「不自然」な現象は、街をHIに導いた無計画に由来する「必然」である。そして、自然のようでいて人工的な「東京人にとっての自然」は、自然(気象)現象のようでありながら実は社会(人為的な)現象であるHIの性質を、皮肉にも良く映し出している。
写真撮影者:日本大学大学院D3年 坂本朋子
2004年7月7日(水)16時頃
六本木ヒルズの屋上庭園(港区六本木6丁目)にて撮影

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