17．おもはらの森―利用客によるイス取りゲーム―

　鮮やかな緑の木々が生い茂る中、思い思いに時を過ごす人々。2012年4月18日(水)にオープンした「東急プラザ表参道原宿」6階の屋外にあるテラス｢おもはらの森｣だ。この広場は、中央の正六角形のテーブルとそれを取り囲むように階段が配置されたつくりになっている。
　後藤ゼミでは、2012年10月15・16・19日の3日間、テラス利用者の直接観察を行った。中央部のテーブル席では193人中163人、全体の84%が屋内にあるスターバックスで購入した飲み物を持っていたのに対し、外側の階段上では312人中128人、全体の41%に留まることがわかった。
　インタビューによれば、買い物ついでに何となく／興味本位で/たまたまたどり着く人が多いこの場所だが、テーブルに並ぶロゴ付きカップが目に入ることで、内側と外側の境界線を瞬間的に感じ取る。くつろぎの空間の中で見えないイス取りゲームが繰り広げられており、そのゲームに参加するためにはスターバックスの商品を持っていることが有利に働くのである。