30.人間定規 ―恋人たちの無言のルール―
ある晴れた日の多摩川べりの風景。不思議なことに、多くのカップルがまるで定規の目盛りのように等間隔で座っている。最初に来たカップルが適当な場所に座る。次に来たカップルは遠く離れた所に座る。次は、前の2組の真ん中に座る。次にはそのまた真ん中・・・・という具合に、間隔を等分した位置に次から次へと座っていく。かくして、ほんのわずかな時間に、きれいな「人間定規」ができあがる(写真には5組しか写っていないが、実際には相当長い定規ができている)。誰かに指図されているわけではないのに、何故こうなるのか。
ここには、人々の他者との「間」の置き方の暗黙のルールが働いている。基準となる他者と一定程度離れた所に座ることによって、自分たちの空間占有を宣言する(なわばりの確保)。同時に、他者に対しても「間」をとってすわることを暗に強要する。それが、無言のまま、ある種の法則に従 うかのように行われるところが、いかにも「東京」らしい。
ここには、人々の他者との「間」の置き方の暗黙のルールが働いている。基準となる他者と一定程度離れた所に座ることによって、自分たちの空間占有を宣言する(なわばりの確保)。同時に、他者に対しても「間」をとってすわることを暗に強要する。それが、無言のまま、ある種の法則に従 うかのように行われるところが、いかにも「東京」らしい。
写真原作者:法政大学3年 後藤久美