13.これが東京のカトリック大聖堂! ―丹下健三の60年代と東京性―

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 青空と強いコントラストを成す高さ39.4m、総ステンレス張りの建物は、建築家の丹下健三が手掛けた「東京カテドラル聖マリア大聖堂」。東京大司教区の中心教会である。
 1964年に竣工したが、半世紀近く経った今でも“新しく”、まばゆい光を放っている。戦前は伝統的な木造ゴシック建築だったが、カトリックの大聖堂とは思えない斬新な建築デザインによって造り変えられた。丹下は、外観に照らし出された光で「豊かさ」を、屋根の曲線で「人々を包み込む感情と神秘性」を表そうとした(『新建築』1965年5月号)。
 丹下の代表作には東京都新庁舎(1991年)やフジテレビ本社ビル(1996年)などがあるが、直線と曲面の構成が印象的な大聖堂は国立代々木競技場に近い。東京オリンピックのために設計されたあの体育館だ。共に1964年竣工、丹下の出世作でもある。
 世界にあまり類を見ないデザイン性に秀でたカトリックの大聖堂からは、丹下が捉えた“1960年代の東京性や時代精神”を読み取ることができる。さて、どう読解しよう。
写真撮影者:日本大学4年 河村雄一
2010年7月19日(月)12時50分
東京カテドラル聖マリア大聖堂(文京区関口3丁目)にて撮影

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