16.無料休憩所に仕掛けられた広告機能 ―客による無意識の上演―

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 スラリとした足、足、足。無防備に投げ出された女性たちの足に自然と目がいってしまう。ここは、新宿駅東口の駅ビル「ルミネエスト新宿」2階にある連絡通路である。2007年9月、隣接しているスターバックスカフェのオープンに伴い、通路に面して無料の休憩所が作られた。56席ある座席はいつも人で溢れ、通路との段差に座り込む人さえいる。
 10/2(土)に私たちが行った直接観察によると、16時頃の休憩所利用者64人中52人が女性であり、スタバの商品とは別にルミネエスト内の店舗の紙袋がやたらと目についた。また、16:30-16:45の15分間だけで219人が通路を行き来し、うち女性は177人(81%)にも及んだ。若い女性向けの店舗構成になっているため、女性客が圧倒的に多いのだ。
 その結果、休憩所には解放感が醸し出され、自然と足が投げ出される。1段高いステージで通路側に足を出して座ることで、知らず知らずのうちに“見られる”存在となる。魅惑的な彼女たちは男性だけでなく、ルミネエストの広告としても視線の的となっている。
写真撮影者:日本大学3年 荻井沙織
2010年8月2日(月)16時00分
ルミネエスト新宿2階連絡通路(新宿区新宿3丁目)にて撮影

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