24.都市計画の矛盾 ―受益者と受苦者―

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 山手通りに面した一軒の家。この家は今、都市計画によって立ち退きを迫られている。
 道路拡張工事が行われるのは混雑や渋滞の解消の為であるが、このことによる主たる受益者は道路利用者である。都内の道路はどこも通過交通が圧倒的に多い現状を考えると、道路に面した土地に暮らす人々はむしろ受苦者の立場に立たされやすい。彼らは、時には行政の手によって強制的に排除されることだってある。都市計画は、「最大多数の最大幸福」を目指して立案され遂行されることを建前としているが、そこには当然、多数に含まれない少数の人々の存在が、厳然とあるのだ。
 お世辞にもキレイとはいえないこの家だが、一軒ぽつんとたたずむその姿は、少数者の「受苦」の煙がくすぶっているように見えてしまう。
写真原作者:日本大学2年 牛尾誠一

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