17.座りたいのに座れない ―ひとときの安らぎを奪われた空間―

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 JR山手線。朝のラッシュ時には、乗車率が優に200%を越える超過密電車。その緩和策として登場したのが、イスを折り畳む車両なのだ。ラッシュ時こそ混雑緩和に貢献しているようだが、ピークを過ぎると途端に座って休みたいという人が目につくようになる。しかしこの車両に限っては、始発時から午前10時まではロックされていて、どんなにガラガラであっても、座れるのに/座りたいのに、座れない、という不可思議な状況が生み出されてしまう。この車両は、高齢者や障害者などの社会的弱者を最初から排除しているが、バリバリ働く壮年サラリーマンにとってはどうであろう。写真手前のサラリーマンの背中からは、疲労感とひとときの安らぎを求める気持ちが、じんわりと伝わってくる。毎日ぎゅうぎゅうに箱詰めされて大量輸送される東京のサラリーマンたちも、本当は弱者なのかもしれない。
<写真原作者:法政大学3年 大塚佳明>

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