2.あまかった雨傘 ―エコブレラにみる環境未配慮―

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 2003年8月から、京王井の頭線の全駅に無料の貸し出し傘「エコブレラ」が設置された。(株)スガイ&アソシエイトの企画だ。傘を協賛スポンサーが買い取る形で広告を載せる宣伝媒体であり、減った分は毎朝定数になるように補充される。
 この傘は、返却され循環することで宣伝効果を発揮し、利用率が高まることで忘れ物傘を軽減させるはずだった。しかし、エコブレラの返却率が約3割という現状では、広告効果はあまり期待できないし、京王の忘れ物傘量も変化していない。それどころか、放出され続ける傘は、エコロジーともエコノミーとも程遠い。焼却しても有毒ガスを発生しない素材で出来ている点が、かろうじてエコロジーといえる程度か。
 飯田橋にある警視庁遺失物管理センター(文京区後楽一丁目)には、一雨で3,000本もの傘が都内の各駅から集まる。そんな大量廃棄都市・東京で、当初の狙いは狂い始めている。東京は、環境配慮の循環型社会にはまだなりきれないのである。

写真原作者:日本大学3年 望月亜希子
2003年8月1日(金)20時頃
京王井の頭線・富士見ヶ丘駅(杉並区久我山)にて撮影

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