3．ファストからラグジュアリーへの回遊 ―連鎖反応の実態は？―

　ルイ・ヴィトン表参道店(2002年、日本1号店の銀座並木通り店は1981年開店)から出てきた2人の女性が持つ黄色い袋はFOREVER21(2009年4月原宿店＝日本1号店）、白地にMの袋がH&M(2008年11月原宿店＝日本2号店、同年9月銀座店＝1号店が開店）。
　大旋風を巻き起こしているファスト(fast)ファッション店である。数週間で新商品が投入され、鮮度の高い安価なトレンドファッションが絶えず店頭に並ぶ。他方、ルイ・ヴィトンは、first-classの品質・価格・付加価値に特色づけられ、いつでも定番品が店頭に並ぶラグジュアリーブランド店の代表格。
　後藤ゼミの調査では、原宿でも銀座でも、ファスト店の袋を提げたカジュアルな服装の(写真に写るTシャツにレギンス姿のような)女性達が大勢、ラグジュアリー店に出入りする現象が確認できた。しかし、見た目以上に両者の垣根は高く、ラグジュアリー店でお金を落とすことには繋がらない。顧客層は異なり、「棲み分け」がなされているのが実態だ。