12.レイシズム(人種差別主義)とコスモポリタニズム(世界市民主義) ―人権をめぐるせめぎ合い―

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 ヘルメット姿の警官隊を挟んで、日章旗や旭日旗を掲げる集団(右翼)と「反『昭和の日』行動」の横断幕を掲げる集団(左翼)が対峙している。「昭和の日」(昭和天皇の誕生日)の新宿大ガード西交差点付近の様子である。黄緑色の高架にはJR山手線が走り、レンガ色の新宿プリンスホテルの後ろが歌舞伎町で新大久保の街に連なっている。
 写真右側の「在日特権を許さない市民の会 (在特会)」は、「殺せ!」「日本から叩き出せ!」等といったヘイトスピーチ(憎悪を煽る表現)を繰り返しながら、日韓友好のシンボル的な街である新大久保をねらい打ちする。他方で、それに対抗する意思を示すカウンターデモが巻き起こり、両者が激突する場面が頻繁に起こるようになっている。
 「表現の自由」を楯にして差別と憎悪に満ちた醜悪な言葉を投げつける人々と、人間の尊厳を人種・国家・宗教の違いを越えて求める人々とのせめぎ合い。コスモポリタンな空気が濃厚に漂う、多文化共生の街・新大久保界隈だからこそ起きる現象なのかも知れない。
写真撮影者:日本大学3年 谷崎直人
2013年4月29日(月)15時頃
新宿大ガード西(東京都新宿区西新宿7丁目1)にて撮影

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