1.イリンクスとしてのキャッチボール ―カイヨワ流“遊びの社会学”―
子供たちがキャッチボールをしているのは、グラウンドでも広場でもない。すぐ後ろに轟音けたたましく電車が走り、その背後に高層マンションが迫る。投げたボールは、いつフェンスを越えてしまうかわからない。こんな危険な場所でキャッチボールをするのは何故か。
都会にはキャッチボールを安心して行える空間がないからだ、と多くの人は思うだろう。しかし、社会学を学ぶ者には、仏の社会学者ロジェ・カイヨワの遊びの理論が思い起こされるはずだ。彼が遊びを4つのカテゴリーに分けて論じた中に、イリンクス(めまい)という遊びの形式がある。暴投すれば、走る電車やマンションの窓にあたって大変なことになると分かっているが故にスリリングで、時には陶酔と恍惚に浸ることすらできる。
だから社会学の目では、これをイリンクスとしてのキャッチボールと見てしまうのだ。
都会にはキャッチボールを安心して行える空間がないからだ、と多くの人は思うだろう。しかし、社会学を学ぶ者には、仏の社会学者ロジェ・カイヨワの遊びの理論が思い起こされるはずだ。彼が遊びを4つのカテゴリーに分けて論じた中に、イリンクス(めまい)という遊びの形式がある。暴投すれば、走る電車やマンションの窓にあたって大変なことになると分かっているが故にスリリングで、時には陶酔と恍惚に浸ることすらできる。
だから社会学の目では、これをイリンクスとしてのキャッチボールと見てしまうのだ。
写真原作者:日本大学2年 鈴木敬雄