11.都会心 ―雑踏の中の自由と孤独―
足早に道を行き交う人々。目的のある人、目的のない人、立ち止まる人、座り込む人。他人が横をすれ違うことに慣れすぎて、自分の隣にいる人がどういう人なのか、お互いに興味を持たないことが暗黙の了解、いや習慣になっている。人々は、周囲に対して無関心さを装うことで、自分のプライベートな領域に他人が割り込むことを防ごうとし、他人に興味を示さないことで、自分に も関わってほしくないことを周囲に無言で要求する。しかし、こうした無関心さは人々のつながりをなくし、都会の慌ただしい生活は人々に自分が孤独であることを深く考える間を与えない。雑踏を歩く人々は人ごみに紛れて、孤独の裏返しの自由な散歩を楽しむ。自由である反面、とてもさみしい孤独な街、それが都会なのだ。
<写真原作者:日本大学2年 横田未知菜>