9．イスラムカラーの巨大パレット ―アッラーアクバル(神は偉大なり)！―

　代々木上原にある東京ジャーミイ。オスマントルコ様式の建築で、トルコ宗務庁が資金援助して2000年に建て替えられた。最大で2,000人を収容できる日本最大級のモスクであり、建築物としての価値も高い。
　イスラムの安息日である毎週金曜日に行われる礼拝には、近郊で生活する信心深いムスリム(イスラム教徒)が一斉に集う。トルコ、インドネシア、マレーシア、日本など、様々な国籍と階層の人々が一様にアッラーを崇める光景は、およそ東京の住宅街でのものとは思えないほどだ。本来、何処でも出来る礼拝を、ムスリムの多くは家庭や職場等の日常生活の場で行う。だが生活に少しでも余裕が出来れば、東京に12程ある近くのモスクに出向く。そうすることで、自分の存在と信仰心の強さを再確認するのである。
　アッラーと同胞が集うこの場所は、ムスリムにとって格好の癒しの場だ。鮮やかなイスラム色を取り戻した彼らは、明日も東京という無宗教色のキャンバスに彩を放っていく。