2. 食堂前の異空間 ―透明な壁によって遮られた視線―

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 食堂の窓ガラスを鏡にして自主練習をする東大のインカレダンスサークルFree Dの学生たち。窓の向こう側ではそれを気にも留めずに食事をする人々や、メンバーの後ろを素通りする人々が見受けられる。東京大学駒場キャンパス内での風景だ。
 Free Dは、知名度の高さやキャンパスの立地の良さから、青山学院・昭和女子・日大・日本女子・東京女子などの他大生がメンバーの半分を占めるほど参加しており、東大生だけのサークルとは質の異なった盛り上がりを見せている。最初は戸惑いを感じる彼ら・彼女らも、人の目に触れるこの場所に慣れることで、他者の視線を気にしつつ集中力と士気を高め、四苦八苦する自身の姿を直視しながら練習することが出来る、と語った。
 大勢の人々に見られることで「自意識」を生み出しているメンバーに対し、食堂内の人々は見慣れた練習風景を日常化させて「意識」の対象から外している。ガラス一枚を隔てた「内」と「外」とでは意識のありようが異なり、だから視線が交わることがない。
写真撮影者:日本大学4年 義則佐藤
2015年7月4日(土)13時34分
東京大学駒場キャンパス内(東京都目黒区駒場3-8-1)撮影にて

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