1990年 ちびまる子ちゃん大人気
1990年1月7日からフジテレビ系毎日曜日夕方6時に「ちびまる子ちゃん」がスタートする。スポンサーは森永製菓。10月28日には視聴率(関東ビデオリサーチ)39.9%に達した。歴代アニメ視聴率第1位を記録する。原作者さくらももこは、エッセー風の漫画の創設者と云われる。主人公の「私」があくまで中心であり、その感慨がストーリー展開の柱となる。これまでの新聞4コマ漫画でのストーリーギャグ中心の作風とは全く違う。その作風が視聴者に新鮮に受けとめられた。さくらももこは静岡県清水市の出身、自身の少女時代をモデルとして描く。1997年にNHKTV番組「トップランナー」に出演したが、終始、顔を出すことを拒む。≪顔を第3者に知られることは本人には煩わしく、かといってどこかで出逢った第3者から声をかけられても挨拶しないことは相手を傷つける≫という主義からこれまで一切のメディアに顔を出してはいない。長男にも母親がさくらももこであることは長く秘匿していた。ただし声はTVアニメでももこ役を務めるTARAKOと瓜二つだという。またアニメ番組のテーマ音楽に使われた「おどるポンポコリン」も大ヒット、堀内孝雄「恋唄綴り」とともに1990年のレコード大賞を受賞した。作詞さくらももこ、作曲編曲織田哲郎、唄B.B.クイーンズ。シングル累計売上げが190万枚に達する。さらにはアニメ15周年記念企画としてスペシャルドラマ版が火曜スペシャル2時間枠として企画され、2006年に放送、これも22.8%の高視聴率を獲得する(関東ビデオリサーチ)。さくらももこは、また独特の個性が生きるエッセーを30冊も出版している。初期エッセー三部作「もものかんづめ」「さるのこしかけ」「たいのおかしら」は、いずれも100万部を突破した。「ちびまる子ちゃん」のオリジナルは雑誌「りぼん」に1986年から1996年まで定期連載された。TVアニメを経て、2007年から東京新聞を始め共同通信系の各紙に「4コマ漫画」として連載されている。その点でも新聞連載漫画の「サザエさん」とは違い、ここでは新聞はTVアニメの後塵を拝している。ともかく永らく国民的な人気を保った「サザエさん」に代わって、新しいブームを形成する。それは一言でいえばめまぐるしく変化する外的世界への庶民のささやかな心理的な防波堤ではなかったろうか。