10.私的空間の集合体 ―電波の圏内、意識は公共圏外―
いつからだろうか、「電話を眺める」姿がごく自然な光景へと変化しだしたのは。数年前ならば電車の中で電話機をじっと見つめる姿は、周囲に違和感を与えたに違いない。このことを裏付けるように、(株)情報通信研究所が今年3月、iモードユーザー6,960名を対象に行った「iモード利用に関する調査」の結果によると、電話とiモードの利用時間比率は、「電話」39.6%に対し、「メール」38.0%、「ホームページ等」22.5%となっており、「話すこと」よりも「見ること」が主流になっている(http://www.commerce.or.jp/)。これは、携帯メールは通話よりも料金が安いうえに、「今ココで」の気持ちも気軽に伝えられる「お気軽文化」が背景にあるからだろう。また、「見るだけならば他人を不快にはさせないはずだ」という思いこみ(無知)が、「携帯電話を眺める」行為に走らせる。
車内は公的空間でありながら、沢山の境界を持つ「私的空間の集合体」となりつつある。
車内は公的空間でありながら、沢山の境界を持つ「私的空間の集合体」となりつつある。
写真原作者:日本大学3年 時田昌彦
2001年7月3日(火)17時
JR中央線車内にて撮影
2001年7月3日(火)17時
JR中央線車内にて撮影
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