27.タイムポケットの釣り堀 ―時間速度の境界線―

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 中央線に乗っていると、突然目に入ってくる釣り堀。JR市ヶ谷駅のホームから見おろすことができる。  線路を境界線にして、時間の流れ方、人々の意識の持ち方がはっきりと違うように感じられる。手前は時間に追われせわしなく動く人々、そして向こう側はつりをゆっくり楽しみ時間をくつろぐ人々・・・・。手前の時間の流れの早さに比べると、向こう側の釣り堀はまるでタイムポケットに入ってしまっているかのように、動きが穏やかだ。
 かつて、「十年一昔」とよく言った。今日では、「一昔」の単位は1年か半年くらいにちぢまっている。だからなおさら思ってしまう。「なぜ、そんなに急がねばならないのか」と。
写真原作者:日本大学4年 笠原裕子

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