5. 団子と牛歩と歩きスマホ ―追い越すことも追い越されることもない特異な空間―

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 京王線新宿駅の改札口をくぐってJR新宿駅や新宿駅東口方面に向かう人々用の連絡通路で、何人かの女性がスマホを見ながら余裕で階段を降りている。日曜日の夜だというのに混雑しているが、平日のラッシュ時に比べればスカスカである。
 私たちが行った目視調査によれば、この場所では団子状態となって牛歩を余儀なくされても、いや身動きが取れない状況であればあるほど、「歩きスマホ」が観察できる。この下り階段では、まるで誘発されるようにスマホをいじり出す人が多発するのだ。
 階段を降りきったところで、歩くスピードが一気に上がり、追い抜いていく人が出現する。連絡通路を抜けると、多方面から人が大量に行き交うようになるので、歩きスマホは危なくてできなくなる。それに対して、この下り階段ではスピードが極端に遅くなり、「追い越しレーン」も形成されないので、全員が団子状態のままゆっくり歩かざるを得ない。これが、安心して「階段降り」スマホができてしまえる主要因となるのである。
写真撮影者:日本大学2年 中山希
2015年7月26日(日)18時頃
新宿駅京王線連絡通路(東京都新宿区西新宿1-1-4)にて撮影

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