16.地面(ここ)にのこしたかった形

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  江戸時代から常設の相撲場があった元回向院(→旧両国国技館)の場所にのこる土俵の跡。日本一地価が高い銀座で本殿がビルの屋上にある朝日稲荷神社。鳥居と拝殿は地面に置かれている。形や背景は違えど、人々の強い思いが地面に「形」をのこした。

朝日新聞ロゴリード画像.jpg Photo Story 2017年2月10日 「ビル街にのこった」
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  両国国技館近くの東京都墨田区両国2丁目。ビルの谷間の中庭に、金属で縁取られた直径9.6メートルの円がある。
  そこは旧両国国技館の土俵があった場所。終戦直後、GHQ(連合国軍総司令部)に接収されるまであった旧国技館の土俵跡を表現したものだ。
  描かれている円の直径は実際の土俵の約2倍。中庭を管理している「両国シティコア」によると、存在がわかりやすいように実際より大きくしたのだという。
(写真・文 恵原弘太郎) 2017年2月10日 朝日新聞夕刊 1ページ 東京本社
Nマークリード画像.jpg 後藤ゼミナール 2003年度 No.12 「パイプにおまかせ! ―銀座に調和する稲荷神社―」
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  銀座3丁目にある、ビルに組み込まれた朝日稲荷神社。注目してもらいたいのはシャッターではなく、上部に写るパイプだ。この神社、拝殿は1階にあるが神が鎮座する本殿は屋上にある。パイプはその2箇所を結び、参拝者の鳴らす鈴と拍手の音を本殿に届けるように工夫されている。さらにビル裏側には土が詰められたパイプが屋上へと伸びていて、理屈上、神を大地の上に安置させる役割を果たしている。この造りになったのは1983年。日本一地価が高い土地柄を活かしてテナント利益を得たい、とビル建設が計画されたのだ。しかし、ここに存在し崇敬を集めてきた神社も残したい。葛藤の末にとったのが「パイプ策」であった。これによってテナントと神社を共存させ、“金と神”の両方を手にした。
  この型破りな神社に違和感を覚える人もいるだろう。だが、本質は案外変わっていないのかも知れない。神社は古来、周囲の環境に馴染むように造られるもの。この神社も、ビルが林立する「銀座」に調和し、商売繁盛の神として息づいているのだから。
写真原作者:日本大学4年 渡邊敬之
2003年6月9日(月)17時頃
朝日稲荷神社(中央区銀座3丁目)にて撮影

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