10.野次馬を魅せる技 ―江戸の火消し文化―

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 「下町七夕祭り」を開催中のかっぱ橋本通りで、「江戸火消しの梯子乗り」(東京都指定無形民俗文化財)が披露されている。6.5mの梯子の上で「背亀」という難易度の高い頂上技を演じるのは、火消しに脈打つ「義理と人情とやせ我慢」を信条に江戸文化を後世に伝えんとする江戸消防記念会(1939年結成)の面々である。「五番」「六番」等と書かれた纏(まとい)の回りでは、大勢の人々が固唾を呑んで見守り、携帯やカメラのシャッターを切っている。
 「火事と喧嘩は江戸の華」と言われたほど、火事が頻繁に起こり、延焼を食い止める破壊消防にあたる火消しが獅子奮迅の活躍をした。炎も火消しも「華」と映り、魅せられた野次馬も多かったに違いない。ことに鳶や大工で構成される町火消しは、機敏で、勇敢で、技にも秀で、粋でいなせな江戸っ子の代名詞にすらなった。
 パフォーマンスに釘付けの現代の野次馬たちを目に「三番」の半纏(はんてん)を着た男性がにんまりする表情には、どこかに「江戸火消しの男気」が漂っている。
写真撮影者:日本大学4年 大橋 伸哉
2007年7月7日(土)15時10分
かっぱ橋本通り(台東区松が谷2丁目)にて撮影

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