14.任侠と男臭さに誘われて ―浅草名画座の仕掛け―

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 1人の男性が、8月のラインナップをじっと見入っている。
 ここ浅草名画座には、いつも中高年男性を中心に100人前後が入っている。20人中17人が週1-月1で来館するリピーターであり、山梨や神奈川・埼玉から通う客もいた。平日2日と土曜の昼間の3日間、ゼミで調査した結果である。
 名画座は入場料を払えば好きな時に出入りでき、シネコンのように1作品が終わった途端に追い出されることがないため、1日中時間をつぶすことができる。1スクリーンのみで1日に3本立てを繰り返し上映し、1週間ごとに作品が入れ替わる。8・9月は27本中21本が任侠映画だった。“任侠もの偏重路線”は若者や女性を切り捨てる一方で、浅草名画座に男臭さとレトロな雰囲気を濃密に漂わせることになる。そんな独特の空気とラインナップが、常連客を囲い込み、広いエリアからの集客を導く主要因となっている。
 いつもの映画、いつもの浅草。いつもの任侠を求める客が、今日も絶えない。
写真撮影者:日本大学4年 森 明霞
2008年7月30日(水)17時01分
浅草名画座(台東区浅草2丁目)にて撮影

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