22.片道370円の山登り ―気軽に楽しめる山、高尾山―

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 三角屋根の駅舎に大きく掲げられた「高尾山」の文字。背後の山がなければ街中のようだが、年間200?250万人もの来山者が押し寄せる都内一の「登山の名所」である。
 ここから標高599mの山頂までの登山道は5コースあり、中腹まではケーブルカーやリフトも利用できる。それなりの装備をして本格的なトレッキングを楽しみたい人向けに、高尾山から陣馬山(標高857m)への縦走コースも用意されている。
 しかし、来山者の主流はハイキング(ウォーキング)+α目的の人々だ。桜、ビアマウント、紅葉、富士山の冬景色。薬王院やサル園もある。東京都多摩環境事務所による現地での面接調査(2005年、513人対象)によれば、都内居住者70%、来訪回数6回以上が50%(初めては16%)と、近辺から何回も来ている人が圧倒的に多い。
 これを支えているのは、京王線新宿駅から最寄りの高尾山口駅まで、片道47分、370円の時間・費用距離の短さ、である。軽装の登山客が多くなる理由でもある。
写真撮影者:日本大学3年 田中弥和子
2009月7月11日(土)14時56分
高尾山ケーブルカー乗り場前(八王子市高尾町)にて撮影

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東京新聞 幻影

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 智恵子は東京に空が無いといふ、/ほんとの空が見たいといふ。
 詩人・彫刻家高村光太郎の妻智恵子の言葉は詩の一節となった。
 では都民にとっての空とは。新宿副都心から約四十キロ、高尾山に連なる稜線(りょうせん)で500ミリの望遠レンズを構えた。夜明けに肉眼では、はっきりしない何かがボヤッと浮かび上がった。液晶画面をのぞきこむ。中央、凹型のシルエットが都庁舎。手前には都西郊の建築群が広がる。大気汚染対策が宿題のメガポリスで、色鮮やかな空の日だった。
写真撮影者:戸上航一
掲載日:2007年10月9日

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