8.「安眠」できぬ生者と「永眠」できぬ死者 ―静かに“眠れぬ”東京人―
手前に見えるのは、谷中墓地(台東区)。上野公園や東京芸大にほど近い所で、ここには徳川家の墓地もある。
日なたの部分が生者のエリア、日陰の部分が死者のエリア。大勢の人を乗せる山手線は、その境目を走っている。さしず め、生者(此岸)と死者(彼岸)とを分かつ境界線であるかのようだ。生者は忙しさに追われて毎夜の「安眠」さえままならず、死者は電車の騒音に悩まされ「永眠」すら許されない。
墓地は静寂の中でこそ厳粛であり、生者と死者との対話も可能となる。「東京人」の安息・瞑想・魂は、「この世」と「あの世」の境界面を騒音を立てながら走る山の手線によって引き裂かれる。 ここでは、どちらに転んでも静かに眠れそうにはない。
日なたの部分が生者のエリア、日陰の部分が死者のエリア。大勢の人を乗せる山手線は、その境目を走っている。さしず め、生者(此岸)と死者(彼岸)とを分かつ境界線であるかのようだ。生者は忙しさに追われて毎夜の「安眠」さえままならず、死者は電車の騒音に悩まされ「永眠」すら許されない。
墓地は静寂の中でこそ厳粛であり、生者と死者との対話も可能となる。「東京人」の安息・瞑想・魂は、「この世」と「あの世」の境界面を騒音を立てながら走る山の手線によって引き裂かれる。 ここでは、どちらに転んでも静かに眠れそうにはない。
写真原作者:立正大学1年 牛坂喜久恵