32.より良い明日へ ―パブリックアートが街に与える影響―

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 足早に過ぎる人々の脇に1枚の巨大な壁画が広がる。2008年11月17日より渋谷駅構内に恒久設置された岡本太郎作「明日の神話」である。
 渋谷駅に展示されたことで、万人にこの作品の存在を知る機会が与えられた。一方で、美術館であれば人々が立ち止まり目を凝らすであろう大作が、あっという間に素通りされるただの壁画になってしまったことにもなる。
 しかし、それでいいのだ。本来パブリックアートとは立ち止まって鑑賞するものではなく、芸術がパブリックな風景の一部と化すことである。「明日の神話」は渋谷駅に置かれてこそ、岡本太郎が思い描いたアートの大衆化を実現し、真の公共性を獲得するのだ。
 人々は通り過ぎるが、確実に目視され価値が共有されていく。その結果として、渋谷が文化的な薫り漂う街としての相貌を持つように成熟していくのである。
 「明日の神話」は、渋谷の明日を築いてゆく。
写真撮影者:日本大学3年 嶋文香
2009年7月22日(水)19時06分
渋谷マークシティ2階連絡通路(渋谷区道玄坂1丁目)にて撮影

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