8.好奇心 ―東京と山梨県上九一色村を結ぶもの―
「私はアルバイト先の人たちと上九一色村までドライブに行きました。これは、サティアンの前での記念写真です。」 日本人は「好奇心」が強い民族だと言われる。M.ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』になぞらえて言えば、「日本人の好奇心が、近代化の推進力であった」(鶴見和子『好奇心と日本人』)。しかし、好奇心は他方で「のぞき文化」を花開かせる。内と外とを区別して、外の世界を「のぞき」続ける。旅の恥は掻き棄てとばかりに、見知らぬ他人や外の世界に対しては無遠慮な態度を取やすい。「オウムもの」の出し物で、連日大人気をはくしているマス・メディア劇場。舞台の一つはサティアン立ち並ぶ上九一色村。人一倍好奇心の強い人々は、舞台そのものにも「のぞいてみたい」欲望を差し向ける。品川ナンバーの車、サティアン前での記念撮影、人々を突き動かしているのは好奇心、それとも・・・・?
写真原作者:法政大学3年 高畑王亮