29.少子・高齢社会を「生きる」力 ―子ども力と老人力―

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 厚生省の発表によると、1996年の東京都における平均初婚年齢は男性29.6歳、女性27.4歳で、全国平均よりも1歳以上高い。女性が産む子供の数は平均1.09人で、これも全国より0.34人少なく、その差は開きつつある。東京都の場合、晩婚化と少子化の同時進行によって、全国よりもかなり速いペースで少子・高齢化が進んでいく。だから、暗い近未来像を吹き飛ばすには、発想と価値観の転換が必要となる。現代社会では、子供と大人と老人との境界が不分明になる一方で、大人(壮年)社会の基準や原理が幅を利かせている。効率と業績の獲得が第一で、みな競争に追われ て遮二無二なって動き回っている。神秘さや不思議さに目を見はる子どもの豊かな感性、肩の力を抜き無駄をいとわない老人の度量と成熟さ、が隅の方に追いやられてしまっている。一人一人が生き生きと輝く「豊かな社会」を築くには、「子ども力」と「老人力」(赤瀬川原平氏)が不可欠だ。
写真原作者:日本大学3年 日野善弘
1998年7月3日(金)午前11時半
新宿区・高田馬場駅前広場にて撮影

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