1.#東京アラート ―コロナ“映え”の「連鎖の構造」―

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 2020年6月2日(火)の午後11時、小池百合子東京都知事はこの日の都内の新規感染者34人、接触歴不明率50%超などを受けて、初めて「東京アラート」を発令した。アラートとは警報のことで、都庁舎とレインボーブリッジを赤色にライトアップして警戒を呼びかけたのだ。上の写真はアラート発令中(6/10)で赤色になっている。下の写真は発令が解除された3日後(6/14)で、赤色からレインボー色に変わっている。左端には五輪マークも映っている。2枚の写真からは、決して少なくない人々がこうした「意図したシグナル」に吸い寄せられ密になって撮影しており、三脚を使っている人もいる、といったことが分かる。
 後藤ゼミでは、写真共用SNSのInstagramでアラート発令期間中に、赤色の東京都庁やレインボーブリッジの写真を上げている人々を対象に調査を行った。その結果、協力を得られた22人のうち、17人が写真撮影を目的として訪れ、13人が一眼レフカメラで撮影し(デジカメ2人、スマホ7人)、10人が三脚を利用していたことが判明した。さらに「#東京アラート」のハッシュタグをつけている1万件以上もある投稿を追っていくと、赤色に染まった都庁やブリッジがいつまで撮影できるか分からない状況下で(実際には10日間で発令解除)、希少価値の高い「コロナ映え」する写真が投稿されると、それを目にした人々に現場に出向き写真を撮って投稿することが促されるという「連鎖の構造」も確認できた。
 その後、都の感染者が桁違いに増大しても、都庁舎が赤色になることは1度もなかった。
写真撮影者(上):日本大学4年 張元辰浩
2020年6月10日(水)20時05分
東京都庁舎(東京都新宿区西新宿2-8-1)にて撮影
写真撮影者(下):日本大学3年 三浦綾華
2020年6月14日(日)20時12分
お台場海浜公園(東京都港区台場2-6)にて撮影

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