7月13日 5限

ここからは5限の授業についてお伝えします。
5限の授業では、4限に続き「△△の□□化」の議論を行いました。
今回は4人の作品が発表されましたが、そのうち議論をしたものは一人の作品だけでした。
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議論の様子その1 休憩が終わり、皆スイッチが入った模様 

なぜそうなったかを書く前に、今年度私たちが行っている「△△の□□化」について簡単に説明します。
「1994年から今(2016年度)までの東京の変化を発見する」
これが「△△の□□化」の目的です。授業では学生がA3サイズのプリントを製作し、それを元に議論を行います。
プリントの内容は、「△△の□□化」に沿ったタイトルを付け、共通する事象が見られる過去作をいくつかピックアップし年代の古いものから順に並べ、
まとめとして、ピックアップした過去作を並べると見えてくる「東京」で起きている変化を書き記す、といったものです。

他の3人の作品で議論を行えなかった理由は、時系列が矛盾している部分があったことです。
例えば2016年度の作品である銀座ライオンビヤホールは80年以上前から存在しており、新しく起きている変化の例として使う事は出来ない、ということです。
例え新しい作品であろうと、切り取られている現象が古いものだと「東京」の変化を表すために使うことができない、このことは私自身も見落としていた部分であり、
もし再び作る機会があれば、時系列も考慮しなければならないな、と反省しました。

さて、「△△の□□化」の議論に話を移します。今回の授業で主に取り上げられたのは、3年の春山くんの作品でした。
彼の作品は「「東京」の広域化」というもので、東京圏で見られる東京化の広がりを捉えたものでした。
1994年「上野駅0時0分発取手行き」から始まり、1998年「ラフォーレ原宿」「遠い玄関(成田空港)」、
1999年「輸出大国"さいたま"」「東京圏大学」、2000年「「東京人」のエートス」、2007年「ポケモンラリー」、2016年「高速バス(アクアライン)」
の8点を年代順に並べ、東京のブランド力が東京以外でも使用され、影響を与えている現象を「「東京」の広域化」と捉え、この作品を制作していました。
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議論の様子その2 この作品に関してのコメントを考えている様子

今回の授業では特に2000年「「東京人」のエートス」に関して深く議論が繰り広げられました。

2000年「「東京人」のエートス」は、那覇空港にある東京テレポートの発券機を捉えた作品で、正に「東京」の広域化を切り取った作品と言えます。
「後ほど使用する切符をあらかじめ買っておく人が今はいるのか」という疑問から議論が発展し、結果として東京圏の特異性を感じる事ができました。
ここからは議論の様子について書きます。
学生からは「今はICカードを使うから、あらかじめ買っておく必要がない」という意見が出て、ほぼ全員納得していました。
しかし、岡山、宮崎、福島出身のゼミ生からは疑問の声が上がりました。何故か。それは、そもそも地元ではICカードを使うことができないから、という理由でした。
東京圏ではICカードがあればJR、私鉄といった電車・バスなどの公共交通を利用することが出来ます。しかしそれは東京圏に限ったことで、
大阪では同じICカードでJR、私鉄の両方を使うことが出来ず、そのICカードではバスに乗ることが出来ません。
さらに岡山や宮崎、福島ではICカードが使用出来ない場所が多く、切符を買うのが当たり前の地域もあるそうです。
そういった議論から、ほとんどの公共交通でICカードを使用できる東京圏の特異性が浮き彫りになりました。
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議論に参加する宮崎出身の田野くん  とてもいい笑顔です。

今回の授業で前期の「△△の????化」は全て終了しました。
この「△△の????化」は毎授業で今回のように議論が深まるので、後期でも出来たらいいな、と思います。
文責:小林誉英(2017年度4年ゼミ生)

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