東京探検団ー柴又

本格的に梅雨の時季となりました。
今回の東京探検団、行き先は「寅さん」でおなじみの葛飾は柴又です。

<参加者> 以下7名
3年:岡安、森崎
4年:兵庫(企画者)、佐藤、坪田、佐野
TA周さん(ティーチング・アシスタント。授業補佐をされている方です)
※ 欠席者:遠藤、渡邊

東京23区のほぼ東端に位置する葛飾区の柴又は、題経寺(柴又帝釈天)の門前町として栄えてきた経緯をもち、その様相が今日まで受け継がれるまちです。
映画『男はつらいよ』の舞台にもなったことはご存じのとおり、柴又は映画の世界観によっても彩られています。
さて、今回はどんな小旅行となったのでしょうか。
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柴又駅前(撮影:TA周さん)

12時に柴又駅前に集合。
昼下がり、観光客とおぼしき大勢の方がたでにぎわっていました。
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リーダーの説明を真剣に聞くメンバー

1日のおおまかな流れをつかんだあとは、さっそく散策へ。
門前町とあって、歴史的な風情にあふれる商店が軒を連ねていました。

草だんごを中心に、和菓子や工芸品の数々が目に留まります…が、それはのちのお楽しみ。
まずは帝釈天を目指します。

一同でお賽銭をしたのち、「獅子舞みくじ」と書かれた箱型の機械を見つけました。
どうやらプラスチックの箱の中にいる、小さな獅子舞が吉凶を教えてくれるようです。これは占うしかありません!
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今かいまかと結果を待つ周さん

結果は大吉でした。おめでとうございます!
ちなみに私は末吉。ありがたくも辛口なお言葉をいただきました。いつも末吉ばかりです。
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おみくじの結果は…
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帝釈天の門前にて記念撮影

余談はさておき、一行はつぎの目的地へ。足を運んだのは山本亭という旧邸宅です。
こちらは旧古河庭園(北区)のように、庭園を備えたかつての邸宅ですが、とりわけ和洋折衷の建造と日本庭園を特色としています。
なんでも山本亭は、米国の日本庭園専門誌より、高い評価を受けているのだとか。
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山本亭 外観

随所に大正ロマンの感じられる趣が…それもそのはず、大正時代の建造物ということで西洋建築が取り入れられているためです。
邸内を見学したのち、居間でしばらくのあいだ雑談。気づけばかなりの時間が経っていました。

リラックスしたのち、つづいて訪れたのは、葛飾柴又 寅さん記念館と山田洋次ミュージアムです。
互いに向き合った立地であることをうかがうと、「寅さん(『男はつらいよ』)」と「山田洋次監督」との関係性がいかに相互的に不可分なものかと感じられました。

「葛飾柴又 寅さん記念館」は体験型のミュージアムで、コアなファンはもちろんのこと、詳しく知らない方も含め、だれもがワクワク感を得ることまちがいなし。
『男はつらいよ』の世界観にトリップできるような臨場感にあふれています。
「山田洋次ミュージアム」は解説や資料が豊富で、知見を深めることのできる博物館といった印象でしょうか。いずれもにぎわいをみせていました。
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最後に寅さん像とパチリ!

記念館をあとにし、近接する旧江戸川の河川敷に向かうことになりました。
広い空のもと、サッカーの試合がおこなわれていたり、鳥が群れを成して羽ばたいたりといった光景がさわやかに映ります。
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旧江戸川 河川敷

河川には、ここ柴又と対岸の松戸とを結ぶ「矢切の渡し」がうかがえました。
今回は乗る機会を得ませんでしたが、そこからの光景には、きっと風情が増すことと思います。
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退散です

そして一行は来た道をもどり、いよいよお待ちかねの帝釈天の参道へ。
各自 店先に並んでいたきゅうりの一本漬やいもようかんを味わいました。

お土産も手にしたところで、このまま帰路に着く流れとなっていましたが、
道すがら気になっていた飲み屋さんの前でいったん停止…軒先で調理するモツ煮や焼き鳥の匂いにつられてしまいます。
今回の探検団を総括する話し合いの場も兼ね、一同 店内に入ることにしました。

相席させていただいた方から声をかけられるなど、「(広義での)下町」らしい気さくな情緒が店内を包みます。
料理に舌鼓を打ちながら(あるいは飲みながら…)、総括をした小一時間となりました。
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話し合い中(撮影:TA周さん)

ここ柴又を訪れて感じたのは、古くからの門前町を基調としつつも、映画の世界観を内面化し、「柴又」というまちを再構築していることです。
古来の建築物を「遺構」と過去の産物に仕立てるのではなく、現在に生きる(活きる)建造物として活用する点から、
また館内や店内に公衆Wi-Fiスポットが設置されているといったぐあいの微細な点から、古来の文化を大切にしつつも、同時に現代志向も根づいていることがうかがえました。
観光地とされるこの一帯ですが、なかには住宅街も溶け込んでおり、こうしたところにも柴又らしさ、ひいては東京性が光っていたように思います。

柴又に光っていた日本古来のうつくしい文化は、時代の波(たとえば均質的にみえる再開発など)に飲み込まれることなく、
遺され、活かされる財産であってほしいと思わずにはいられませんでした。
文責:佐野風花(2015年度4年ゼミ生)

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