17.新型車両導入や優先スペース増設だけでは・・・? ―バリアだらけの東京―(2019年度作品)

 地下鉄半蔵門線渋谷駅のホーム。入り口近くに、ベビーカーと共に乗車した女性が2人。渋谷始発の時代ならまだしも、東急田園都市線や東武伊勢崎線と直通運転するようになってからは、優先スペースに辿り着くこともままならない。平日の午前中なのに、この有様だ。
 東京2020大会に向けて、政府が鉄道事業者にバリアフリー化の徹底を促したこともあり、とりわけ東京では各社が新型車両の導入やフリースペースの増設を競い合うようになっている。半歩前進と言えるが、確実に2人分以上のスペースを取るベビーカー連れは、相変わらず迷惑がられ目の敵にされがちで、安心して電車に乗ることが出来にくいままだ。
 東京圏の主要区間の最混雑時間帯の平均混雑率(*)は1990年頃まで200%以上だったが、現在は163%(2018年)まで下がっている。しかし、大阪圏126%、名古屋圏132%に比べるとまだ相当高く、抜本的な改善が求められる。ベビーカーを迷惑視する「心のバリア」をなくすことも不可欠だ。ここでも、東京が弱者を包摂する「優しい都市」になれるかが試される。
* 国土交通省鉄道局都市鉄道政策課による2018年7月17日発表のプレスリリースによる。
写真撮影者:日本大学3年 マヘルプル ルヒナ
2019年6月25日(火)10時6分
東京メトロ半蔵門線渋谷駅(東京都渋谷区道玄坂2-1-1)2番線ホームにて撮影

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