8. 開かれた扉 ―ムスリムと非ムスリムを結びつけるモスク(ジャーミー)―

2015_08.JPG
 肩を合わせて礼拝堂でコーラン(イスラム教の聖典)を詠唱する礼拝者と、距離を置いて観察する見学者。2014年から東京ジャーミーで始まった、誰でも参加できる予約不要の見学ツアーの様子である。土日に1階のホールが人で埋め尽くされるほど、大人気だ。
 早稲田大学の店田廣文教授らの調査によれば、1980年代末まで全国で3つだったモスクは、後の建設ラッシュによって80ヶ所以上に数を増やし、その多くはローカルなムスリムのための小さなモスクだった。東京ジャーミーは、東京近郊に生活するムスリムだけでなく、地方や海外からも人を呼び寄せ、多様なムスリムを受け入れる日本最大のセントラルなモスクと言える。金曜礼拝に300人以上が隙間なく並んで礼拝する光景は、圧巻である。
 案内人を務める下山茂さんは、「来てもらうことが第一歩。そういう宗教だったのかと思って帰ってもらうことが第二歩」と話す。非ムスリムにも開いた扉によって、様々な境界を跨いだ連帯のコミュニティが、ここから形成されていくのだろうか。
写真撮影者:日本大学4年 高島智広
2015年8月29日(土)15時38分
東京ジャーミー(東京都渋谷区大山町1-19)にて撮影

地図

プロジェクト