1.女のサンクチュアリ ―ひとときのやすらぎを求めて―

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 女性専用車両は、2001年3月に京王線で本格運行を開始して以降、痴漢対策を名目に多くの路線で採用された。
 男社会の中では、女は昔から「見られる存在」であり続けた。男の視線を常に感じ、気を休める暇もない。そんな中、瞬く間に普及した女性専用車両。混雑率も低く、乗客全員が同性という安心感も手伝って、平穏な空気が漂っている。間違って男が一歩足を踏み入れようものなら、それまで保たれていた秩序は乱れ、緊張感が走る。お喋りに興じていた人も話すのを止め、怪訝な目で男を射る。
 終着駅が近づくと、鏡を開き化粧直しを始める人が多数現れる。女性専用車両から降りることは、女達が再び「見られる」世界へ飛び出すということ。準備を整えた彼女らは、弛めた気合いを入れ直して発っていく。
 この車両は、「見られる」ことから一時でも解放されたい女を引き寄せるのである。
<写真撮影者:社会学科3年 荒井沙彌佳>
2005年7月1日(金)8時半頃
JR池袋駅(豊島区南池袋1丁目)埼京線上りホームにて撮影

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