54.無差別殺傷事件と神田際 ―祭りが秋葉原を変える瞬間―

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 世界屈指の電気街にしてサブカルチャーの聖地、秋葉原。江戸三大祭りの一つである神田祭が行われている。
 神田祭は2年に1度行われ、神田、日本橋、秋葉原、大手町・丸の内の氏子区域を巡る神幸祭(しんこうさい)行列と、氏子町会108ヵ町の約200基もの神輿が次々に神社境内へと進む神輿宮入(みこしみやいり)が二大柱となっている。写真は、宮入を終えた16基の神輿が、電気店やマニアックな店舗が立ち並ぶ中央通りを練り歩く「みこし天国」の様子である。
 2008年6月に17人が死傷した無差別殺傷事件が起こって以来、中央通りの歩行者天国は無期延期となっていた。この日、約1年ぶりに通りが人で埋め尽くされた。
 今回の神田祭は、事件の犠牲者への鎮魂の思いを胸に、「地域社会の安寧と活性化」が主題の1つに掲げられた。祭のもつ浄化作用が中央通りで発現し、つかの間の活気を取り戻した。「古くて新しい神田祭」(清水祥彦神田神社禰宜)が執り行われたのである。
写真撮影者:日本大学4年 黒臼直光
2009年5月10日(日)16時22分
千代田区外神田4丁目にて撮影

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 射的、スーパーボールすくいにチョコバナナと祭り定番の店が二十を超える。ただ足元に車止めや「(株)?様」の文字が入ったプレートも。天井の鋼材に開いた小穴から差し込む光で見物客らの服は、すべて水玉模様に。 
 神田神社(千代田区外神田)神田祭でのひとこま。隣接する二階建て駐車場内に露店が並ぶ。「お神輿(みこし)が入ってくるので、露店を境内にだすことができないんです。(月決め駐車場の)契約書にも書いてあります」(同神社)。都心ならではの夏祭り風景だった。
写真撮影者:嶋邦夫
掲載日:2009年5月15日

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