18.現代に生きる街頭紙芝居 ―愛される「繋がりの場」―

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 「…続きは、次回のお楽しみであります。さぁ、クイズに行こう!」。子供達が集う公園の一角でそう語るのは、この道50年の街頭紙芝居師、永田為春さんだ。
 ヤクザのテキヤ組織が発端の街頭紙芝居業は、1930年の『黒バット』発表以降、失業者を中心に東京から全国各地へと広まった。その後、株式会社が次々と立ち上がる程に発展したが、少年雑誌とテレビの普及により、戦後まもなく衰退した。今や総務省統計局の「日本標準職業分類」にも載っていない。それでも彼が重い商売道具を積んだ自転車にまたがり、紙芝居やクイズを駄菓子と共に提供し続ける理由は、この「場」にこそあった。
 「子供達は紙芝居を見に来てるんじゃない。紙芝居の小父さんに会いに来ているのさ」と、永田さんは言う。人間関係が希薄になった現代社会の片隅で、昭和から続く「想いが繋がる場」がここにある。良き遊び相手や相談役にもなる彼の元に子供達が集まってくる限り、次の「場」でも元気な声が溢れることだろう。
写真撮影者:日本大学4年 富田 竜至
2007年8月1日(水)16時頃
鹿骨第3広場(江戸川区西篠崎2丁目)にて撮影

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