27.Irish Community ―異郷の同郷―

1997_27 Irish Community.jpg
 新宿東口のアイリッシュ・パブ。訪れる客のほぼ半数が外国人であるという国際色豊かな店内では、アイルランド訛りの英語が聞こえている。「異郷」の中で故郷が恋しくなるのか、外国人客の多くがアイルランド系である。彼らの年齢層は、若年層から年輩層まで幅広い。「同郷」という共通性を持った彼らは、この店で出会いと交流と共感を重ねる中で、ひと時の擬似的コミュニティを体感する。 都市度が高いほど人種的異質性が高まるというのは都市社会学的な法則であるが、ここには、都市の一つの要素(エレメント)である「外国人」を更に細かくカテゴライズした「アイルランド系の 人々」が集っている。人口量の膨大さ、人口密度の濃密さ、異質性の際だった高さという大都市の特質が、こうした現象を生み出し、支えている。
 「東京」が、「国際都市/世界都市」としての成熟度を高めていることの証左でもある。
写真原作者:日本大学4年 春日隆秀

プロジェクト