13.トランス状態 ―アンダーグラウンドな共通感覚―

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 頭が割れんばかりの大音量。ライブが始まると同 時に、ステージの前に人が押し寄せる。音楽に合わせてのっているその表情は、何かに取り憑かれたような、日常生活では見ることのできない恍惚境に入って いる。ライブハウスには、彼ら/彼女らをそうさせる非日常的で密度の濃い空気が流れている。普段は「東 京人」として個人主義に身を包んで武装している彼ら /彼女らも、狭く暗いアンダーグラウンドな空間に入ると、見知らぬ人と肩を組み、一緒に踊ったり、暴れ たりする。そこには、彼ら/彼女らをそうさせる程の 「一体感」と「共生感」が確かに脈打っており、そこに自己を没入させることによって、生きている実感と 自分自身の存在感を確証する。大半がリピーターで、頻繁にライブハウスを訪れていることもなるほどうな づける。ライブが終わった後、となりの女の子が話していた。「これだからライブはやめられないよね」、と。
写真原作者:立正大学3年 松永香織
1998年6月2日(火)
新宿のロフトにて撮影

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