16.煙突のなくなる町 ―社交場の解体―

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どこの町内でも一つは見かけた銭湯の煙突。ここ目黒区某所にある煙突は、今は見る影もなく蔦におおわれ、取り壊される日を迎えようとしている。かつては“床屋と銭湯は浮世の社交場”と謳われ、見ず知らずの大人たちに社会の一端をかいま見て、その背中に人生を学んだ。現在残っている銭湯は日常生活の必需ではなく、露天風呂や温泉・サウナなど用途に応じて楽しむレジャーの一つになり、番台という見張りはフロントというプライバシーの城壁となり変わった。
 “裸のつきあい”は、コミュニケーションに疲れた現代人にとってストレスを一つ増やす事につながってしまう。あくまで「個」が尊重される世の中で、銭湯の跡地にワンルームマンションが建つことに、ある種の因縁を感じとることもできるのではあるまいか。
<写真原作者:日本大学大学院M1年 山本太郎>

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