25.歪んだ空間配分 ―都市計画の非計画性―

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 よく見て欲しい。小さく『いとくぼ公園』と書かれた看板が見える。そう、これはこんなに小さくても一応公園(児童公園)なのである。都市計画法によって、住宅地高度利用地区には「道路、公園、その他の政令で定める施設の配置及び規模」が定められている。基準を最低限度満たすためだけにこの公園が生まれたことがうかがえる。都市計画によって生まれた、とても計画的とは言えないようないびつな空間。子供たちがなんとも窮屈そうに遊んでいる。
 ルフェーブルは、「現代都市はもはやせいぜい住民を、〈居住地〉に閉じ込めるという機能を拡大させ、逆に〈住むこと〉の可能性は遠ざかった」と指摘した(『都市計画』)。
 都市生活者を解放し、真の意味での〈住むこと〉を手に入れるには、生活者自身が〈住むこと〉にもっと敏感になり、歪んだ空間配分の見直しを進めることが必要であろう。
写真原作者:法政大学4年 古市和美

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