4.“ホンモノそっくりのニセモノ(食品サンプル) ”の発信基地 ―職人技の視覚効果(マジック)―

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 「これホンモノ?」「いえ、ニセモノです」。ここはかっぱ橋道具街の食品サンプル専門店。上野や浅草に近く、珍しい土産物にと外国人観光客も訪れ、連日賑わいを見せている。
 新宿や下高井戸、調布などで飲食店を手当たり次第調べたところ、食品サンプルをディスプレイしていたのは148店舗中61店あり、41.2%に上った。種別に見ると、和食49店中35店(71.4%)、中華30店中13店(43.3%)、洋食19店中6店(31.6%)などとなり、和食店での利用率が際立っている。かつては実物の見本(サンプル)というより誇張が多かったが、今では実物(ホンモノ)そっくりに精巧に作って欲しいという要望が大半であると言う。サンプルのリアリティと質が上がった分だけ、利用/耐用年数が延びて受注数は減少するが、特注の増加で売上高はそこそこの水準を維持している。だから、どこの店も小売りには期待していない。
 欧米にはない食品サンプル(ホンモノそっくりのニセモノ)は、通りすがりの客に食欲を喚起させ、店の中に誘い込む視覚効果(マジック)を持っている。
こうした職人技が、この街を支えているのだ。
写真撮影者:日本大学4年 上野 哲広
2007年6月19日(火)16時10分頃
東京美研の店内(台東区西浅草1丁目)にて撮影

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