6.開店時間は午後10時 ―現代のヤミ市―

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 ここは新宿駅西口の近く。「眠らない街」と形容されるだけあって夜の10時はまだ宵の口。人波は絶えることがない。そんな中、野菜や果物、花などを乗せた軽トラックがどこからともなくやって来て、それぞれいつもの決まった場所で店開きする。扱っている品物はとりたてて新鮮でも上等でもなさそうだが、比較的安いせいかそこそこに客は寄って来る。写真のように、母親に連れられた子供の姿だって見受けられる。ある店主に聞いたところ、営業許可は取っていないが、警察も半ば黙認状態らしい。しかし、1週間に3度ほど、夜10時-12時頃まで、定まった場所で、定まった露天商が営業するという規則性からすると、背後に組織化された「力」が働いているに違いない。戦後の混乱期にヤミ市が開かれていた場所で、ゲリラ的に営業する現代版のヤミ市。暗闇の向こうの部分には、一体何が隠されているのだろう。
写真原作者:日本大学4年 北川美玲
1998年8月6日(木)午後10時
新宿西口・小滝橋通りにて撮影

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