11.大都市の“蛍” ―Lack of Moral の反射板―

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 ヒトのあるところ、ゴミあり。大都市の街中では、人ごみが大量のゴミを吐き出していく。そこに清掃員が出動する。
 清掃員のおじさん達は、“光る”ことで自分の存在を知らせて人との接触を避け、仕事を効率的にこなすために2本のほうきを使って、街の表面を手早くきれいにする。
 こうした仕事が成り立つのは、罪悪感も羞恥心もなくゴミを平気で捨てられてしまう人々の集合が一定程度以上のボリュームになるから。都会人は、清掃員の仕事を決してうばったりはしない。それどころか、“街の美化”を仕事とする蛍光おじさんたちは、人々の “モラルの欠如”が深まれば深まるほど、光輝いていく。ああ、なんという皮肉な事態なのだろう。
 大都市の“蛍”は、ゴミの多いところに棲むと人は言う。
写真原作者:立正大学2年 橋口兼太郎

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