14.渋谷に生息するラクガキスト ―お地蔵様もキャンバスに―

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 誰が描いたのか、判読不能な落書きだらけの塀。塀の内側の祠には赤い垂れ幕が掛けられ、中には地蔵と庚申塔が祀られている。祠の向こうの母屋には誰も住んでいない。ここは、渋谷センター街から10分ほどの喧騒から離れた場所に佇む「宇田川地蔵」である。
 9/26(日)・10/1(金)・10/3(日)に行ったゼミ調査では、宇田川町内だけで390箇所もの落書きが確認できた。路地裏の他にも、ビルの壁面や公園、コインパーキング、廃屋等で数多く見られた一方、人通りの激しい公園通り沿いではほとんど見られなかった。また、宇田川地蔵の落書きは調査毎に更新されていることも分かった。
 中心街から離れ、人の目/管理が行き届かないスポットに、“渋谷ラクガキスト”たちは生息する。そして、放置されっ放しの落書きは新たな描き手を呼び、たとえそれがお地蔵様であろうとも格好なキャンバスになっていく。
 彼らは今日も、渋谷のどこかに身を潜めながら、落書きを描くチャンスを狙っている。
写真撮影者:日本大学3年 北村優樹
2010年7月12日(月)14時51分
宇田川地蔵(渋谷区宇田川町10丁目)にて撮影

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