10.美術館に大行列ができる時―「少女」の瞳に吸い寄せられる人々―

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 待ち時間、約70分。30℃を超える炎天下に、多くの人が日傘をさしながら列を成している。上野にある東京都美術館である。この日は、毎月第三水曜日に設けられているシルバーデイで、65歳以上が入場無料となっていることから、特に年配客が目立っている。
 開催中の「マウリッツハイス美術館展」の目玉は、何といってもオランダの画家フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」である。今回の特別展では、右の建物に貼られたポスターのように、「少女」一人を前面に押し出した一点豪華主義な宣伝方法がとられた。この絵は既に広く認知されていることもあって、総来場者は75万人を超える驚異的な数を記録した。本学芸術学部映画学科の古賀太教授は、私たちのインタビューに応えて「人は自分の知っているもののオリジナルを見てみたいという心理が働く」と語った。
 世界中で無数に複製されどこででも見られるコピーではなく、この世に1つしかない本物の「少女」に出会うために、人々は長蛇の列を作る。まるでその瞳に吸い込まれるように…。
写真撮影者:日本大学2年 小野寺敦子
2012年7月18日(水)10時00分
東京都美術館(東京都台東区上野公園8丁目36)にて撮影

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