4.風景としての「神宮」 ―原宿駅と絵画館を結ぶもの―


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 (1)のJR原宿駅は、1925(T14)年竣工の都内最古の木造駅舎。駅ビル化が進む今日にあって変わらぬ姿を保つのは、「宮廷ホーム」と呼ばれる皇室専用の乗降場の存在に起因する。
 (2)JR信濃町駅からほど近い聖徳記念絵画館は、1926(T15)年竣工の明治天皇・皇后の「事績」を後世に伝える記念館。冬色に変わった銀杏並木の奥に、日の丸がなびいている。
 2つの建造物は連関する。1920(T9)年、明治天皇・皇后を祀る明治神宮が創建されたのに端を発し、絵画館の周りには、陸上競技場(現国立競技場)や神宮球場や水泳場(神宮プール)などが相次いで作られ、明治神宮外苑として整備されていった。つまり、神宮の膝元に原宿駅が、神宮外苑の中心に絵画館が置かれ、両者は機能的に一体化しているのである。
 しかし、造営から80数年が経った現在、原宿駅前は多くの若者であふれ、絵画館周辺は良質な散歩コースとなっている。都市空間の中に埋め込まれた国家の明確で強い意思を感じ取る者はほとんどいない。「神宮」は、ありきたりな風景となっている。
写真撮影者:(1)日本大学2年 稲川透 (2)日本大学4年 今井晴香
(1)2009年7月14日(火)18時46分 (2)2008年12月9日(火)15時38分
(1)原宿駅前(渋谷区神宮前1丁目) (2)神宮外苑銀杏並木(港区北青山2丁目)にて撮影

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