27.巧みな共生関係 ―ハイテクな街のローテクなリサイクル―

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 秋葉原でダンボールを山積みにしているリヤカーが1台・・・・。
 千代田区では、条例によって、事業所は区が認可した回収業者と契約して独自に資源やゴミを処理しなくてはならないことになっている(但し、小規模の事業所は予め購入した有料ゴミ処理券を貼れば区の回収に出すことができる)。ところが、資源・ゴミの回収日でもないのに、ダンボールを軒先に積んでいた店が、電気街で20m、岩本町では30mに1軒の割合で発見できた。それらを回収して回っているのは、契約業者でも区の回収車でもない。廃品回収業者が無料で貸したリヤカーを引くホームレスの人々であった。店の人は、「置いておけば勝手に持って行ってくれるから」と当然のように言う。店側は店先にただ置いておくだけ、それを勝手に持っていくのだから条例違反にはならない、と解釈されている。回収する側と店との間には契約はなく、暗黙の了解の内に取引されるのである。
 タダで捨てたい側とタダで拾いたい側の、条例の隙間をくぐる「巧みな共生関係」である。
写真原作者:日本大学3年 山田晃央
2002年6月21日(金)
JR秋葉原駅近辺(千代田区外神田)にて撮影

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