9.身を委ねて、感覚を研ぎ澄ます

2018-9朝日新聞比較画像.jpg9.後藤ゼミ比較.jpg
  重力に逆らって宙づりになっている女性たち。新宿駅の通路で行き交う多数のヒト(物体)をかわして進む人々。天上から吊す紐と人の波に身を委ねながら、感覚が研ぎ澄まされていく。身体が妨げられているのに解放されている、逆転の世界。

朝日新聞ロゴリード画像.jpg Photo Story 2016年7月29日 「逆さまリラックス 反重力フィットネス」
9.朝日メイン.jpg
  天井から垂らされた、特殊な布で作られた専用ハンモック。それらを自在に使い、女性たちがさまざまな宙づりのポーズを取る。
  1991年に米ニューヨークで、元体操選手のクリストファー・ハリソン氏が考案した「アンティグラビティ(反重力)フィットネス」。2014年に日本に上陸し、今年2月にオープンした東京都目黒区の「NAVI自由が丘スタジオ」では、現在150人ほどの会員が「反重力」を楽しむ。
  頭に血が上りそうだが、「ずっと逆さまなわけではないので大丈夫。慣れれば気持ちいいですよ」。
(写真・文 関田航)
2016年7月29日 朝日新聞夕刊 1ページ 東京本社
Nマークリード画像.jpg 後藤ゼミナール 2004年度 No.13 「『東京』を生きる ―養われる皮フ感覚―」
9.後藤ゼミメイン.jpg
  JR新宿駅の中央通路。小田急線・京王線改札へと続き、両脇にはホームへの階段が8つある。複雑な構造の新宿駅の中で、ここは比較的容易に乗り換えができる為、広いとはいえないこの通路には膨大な数の人が押し寄せる。
  新宿駅は、1日の乗降客数が約320万人と日本一を誇る。これは、大阪市の居住人口を約60万人も上回る人数だ。でも、ここを歩く人を観察すると、互いにぶつからない様に無意識に体をひねってかわしながら、決して立ち止まることなく平然と巧みに歩いている。
  新宿を初めて体験する人なら、ここを行き交う人々は障害物となって、スムーズに歩くことはできないだろう。ところが日常利用する「東京人」にとっては、決して障害にはならない。なぜなら、彼らは他人を意識せず、流れに乗って行き先にたどり着く皮膚感覚に日々磨きをかけているから。ただでさえ長い通勤時間。混雑度も激しい。こんなところで無駄なエネルギーを使っていては、勝負なんてできっこない。
写真撮影者:日本大学2年 佐藤美菜子
2004年7月6日(火)18時頃
JR新宿駅中央通路(新宿区新宿3丁目)にて撮影

朝日新聞 地図



後藤ゼミナール 地図



プロジェクト