23.菊と白百合 ―靖国神社の天皇性―

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 靖国神社の参道をカトリック系の白百合学園の児童が下校している。
 靖国神社は、1869(M2)年、官(=天皇)軍戦没者慰霊のために創建された東京招魂社を前身とする。祭神は、国家=天皇のために命を捧げた約250万の「英霊」である。敗戦後は国家神道から脱して一宗教法人となったが、現在でも神門の扉には天皇家の紋章である「菊の御紋」が金色に輝いている。靖国神社が「天皇の神社」であり続けることの証である。
 他方、フランス人修道女によって1884(M17)年に創立された白百合学園が、神社の隣に移転してきたのは1927(S2)年であった。日本におけるキリスト者は軍国主義全盛の当時、靖国信仰(=天皇教)を「国家の祭祀」と合理化することで生き延びた。キリスト教で無垢の象徴である白百合を菊(=天皇)色に染め上げたのである。
 戦後、国家や天皇や戦争責任や憲法や宗教やアジア諸国との関係のあり方が繰り返し問われる中、神社の支柱であるはずの天皇自身はかれこれ30年も参拝していない…。
<写真撮影者:社会学科4年 的野夏彦>
2005年6月26日(日)15時頃
靖国神社(千代田区九段北3丁目)にて撮影

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